ここでは、四国八十八箇所霊場を始めとする弘法大師霊場巡礼における基本的な参拝方法について記述する。なお、大きく逸脱しない限り適度に省略してもかまわない。信仰する宗派があれば、その流儀に従ってもよい。
弘法大師霊場巡礼一般の作法[編集]
- 山門で本堂に向かって一礼。帽子を被っている場合は脱帽、菅笠は脱がなくてもよいとされている。
- 御手洗(みたらし,水屋(みずや)とも言う)で、身を清める。
- 柄杓を右手に持って、左手を洗い清める。
- 柄杓を左手に持ち替えて、右手を洗い清める。
- 柄杓を右手に持ち替え、左手に水を受ける。
- 左手に受けた水で口を漱ぐ。柄杓を直接口に付けてはならない。
- 再度左手を洗い清め、最後に柄杓を漱ぐ。(右手で柄杓を持って柄杓を立て、こぼれる水で柄杓の柄と持った右手を同時に洗い清める。)
- 白衣、輪袈裟、数珠などを着用している場合には遍路の正装に乱れはないか確認し参拝に失礼がないように整える。
- 梵鐘を突く。寺院によっては一般に認めていないところもあるので、その場合は省略。これは参拝する仏を呼び覚ますためのもので、帰り際に突いてはならない。
- 本堂へ参る。
- 灯明をあげる。灯明台にろうそくをあげる。下から置くと後で上に置く人が下のろうそくの炎で火傷をする虞があるため、灯明台の上部から置いていくのが礼儀にかなう。既に灯っている灯明から火を受けるべきではない。先に灯した参拝者の業を受けるといわれている。
- 線香をあげる。一般に3本(「身・口・意」を意味する)揃えてあげる。これも、自分があげた灯明以外から火を受けるべきではない。線香もろうそくと同じで線香鉢の中央や奥側から置いていくのが礼儀にかなう。
- 納め札、賽銭を納める。納め札には住所(町名まででよい。最近は札納箱から納め札を集め、住所氏名を霊感商法に悪用する者がいるという)・氏名・年齢(数え年)・参拝日・願意を書いておく。賽銭は「気持ち」で良い。
- 経を納める。ここから菅笠を含めた被り物は脱ぐ。正式な読経の内容と順序を示したものを「仏前勤行次第」という。在家の参拝者ならこれを読めれば充分である。なお、読経の際にはたとえ暗記していても経本を手にして読むことが作法にかなっている。経本(仏前勤行次第)は遍路用品店で300円程度から購入することができる。一部を省略する場合でも、巡礼としての参拝であれば下記の内の太字は最低限行いたい。
- 合掌礼拝 胸前で合掌し三礼し次のように唱える。「うやうやしくみ仏を礼拝したてまつる」
- 祈願文
- 開経偈
- 懺悔文
- 三帰
- 三竟
- 十善戒
- 発菩提心真言
- 三摩耶戒真言
- 般若心経
- 札所本尊の御真言(三回)。本尊が弘法大師の場合は省略。
- 光明真言「おん あぼきゃ べいろしゃのう まかぼだら まに はんどま じんばら はらばりたや うん」(三回)
- 弘法大師御宝号「南無大師遍照金剛(なむだいしへんしょうこんごう)」(三回)
- 札所御詠歌
- 回向文
- 謝意をこめて一礼
- 大師堂へ参る。(寺院の本尊が弘法大師である場合は大師堂は無いので省略。)
- 灯明、線香をあげ、納め札、賽銭を納める。
- 経を納める。
- 祈願文
- 開経偈
- 懺悔文
- 三帰
- 三竟
- 十善戒
- 発菩提心真言
- 三摩耶戒真言
- 般若心経
- 光明真言(三回)
- 弘法大師御宝号(三回)
- 回向文
- 謝意をこめて一礼
- 他のお堂に同様に参拝する。
- 納経所で納経(朱印)を受ける。
- 山門で本堂に向かって一礼。