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JR九州・肥薩線の車窓を楽しむ旅
出典: Wikitravel
目次
JR九州・肥薩線の車窓を楽しむ旅は、九州地方の熊本県八代市から鹿児島県霧島市へ、JR九州・肥薩線の列車に乗って1日或いは1泊程度で巡る旅行プランである。肥薩線(ひさつせん)は、日本三大車窓の一つと言われる矢岳越え(やたけごえ)や日本三大急流の一つと言われる球磨川(くまがわ)に沿って走る区間の沿線風景が楽しめる他、明治時代に建設された駅舎や施設などの鉄道遺産と言えるものも残っており、見所が多い路線である。
[編集] 分かる
肥薩線は八代市の八代駅から霧島市の隼人駅までの124.2kmを結ぶ、全線単線非電化のローカル線である。明治時代に建設され、一時期は幹線として人吉本線や鹿児島本線の一部であったが、昭和の初めに海沿いのルート(現在の肥薩おれんじ鉄道線と鹿児島本線)が完成すると都市間を結ぶ支線扱いとなり、さらに一部の区間が日豊本線(にっぽうほんせん)に編入されて現在の肥薩線の区間となった。このような経緯から建設当時以降に鉄道設備の大規模な変更や更新があまり行われず、登録有形文化財に登録されたり、近代化産業遺産群に選定されるような鉄道遺産が残っているものと思われる。
車窓からは球磨川の渓谷、えびの高原や霧島連山などの風景を楽しむことができるが、沿線には九州最長の鍾乳洞「球泉洞」、球磨川下り・ラフティング、人吉温泉・霧島温泉郷など、列車に乗って通り過ぎるだけでなく途中下車して立ち寄りたい観光スポットもある。
御多分に洩れず利用者の少ない区間の廃止も取り沙汰されたりしたが、現在では前述のような観光資源を活用して観光路線に転換する取り組みが為されており、JR九州では中央に展望スペースのある専用車両による観光列車「いさぶろう」・「しんぺい」を人吉〜吉松間で運行したり、同様の車両による特急列車「はやとの風」を吉松〜鹿児島中央間(日豊本線・鹿児島本線経由)で運行している。また、極限られた期間なのでイベント列車的であったが、機関車牽引による臨時快速列車「SL人吉号」・「ディーゼル人吉号」が鹿児島本線熊本駅〜人吉駅間で運行されていたこともあり、肥薩線の全通から100周年にあたる2009年から「SL人吉」として蒸気機関車の運転が復活した。
[編集] 準備
特別な準備をする必要は無いが、JR九州から割引きっぷ(観光きっぷ)が発売されているので、自分の旅程に合ったものがあれば活用したいところ。[1]
- 人吉・球磨フリーきっぷ — 肥薩線の「球泉洞〜吉松」、くま川鉄道の「人吉〜湯前」がフリー区間。特急列車自由席、くま川鉄道に乗り降り自由。
- ぐるっと一周肥薩きっぷ — 肥薩線(「八代〜人吉〜吉松〜隼人」)がフリー区間で、九州新幹線や肥薩線の観光列車に乗車できる。
観光列車「いさぶろう」・「しんぺい」は列車の種類としては普通列車なので普通乗車券で乗車可能だが、座席の大半は指定席なので観光シーズンや休日には指定席券を購入しておいた方が良い。
人吉〜吉松間の列車は本数が少ないので、途中下車して観光を楽しむのであれば、人吉あるいは吉都線の京町温泉辺りで1泊するような旅程を計画したほうが良い。いさぶろう・しんぺい号の場合は大畑・矢岳・真幸駅には駅舎見学のため数分間停車するため、この列車を旅程に組み込むとよい。人吉も大きな温泉地であるため、宿泊先の候補として考慮してみるとよい。
[編集] 出発する
肥薩線の両端の町である八代市と霧島市を除くと、出発地点として挙げられそうな大きな町は熊本市と鹿児島市で、熊本市から八代市までは列車で約30分、鹿児島市から霧島市までは列車で約40分である。
熊本県側と鹿児島県側のどちらから出発しても構わないのであるが、肥薩線の起点が八代駅であることと、大畑駅(おこばえき)付近にはスイッチバックとループ線があり(スイッチバックは山の反対側の真幸駅(まさきえき)付近にもあるが)、これらを登って矢岳越えをしたいので、この旅行プランでの起点の町は八代市としておく。
また、肥薩線を走る列車は他にもあるが、せっかくなら観光列車「いさぶろう」・「しんぺい」や特急列車「はやとの風」にも乗っておきたいので、この旅行プランではこれらの列車の利用を前提とする。
[編集] 列車に乗る
この旅行プランの軸となる列車は以下のとおりである。観光列車は、下りの人吉発吉松行きが「いさぶろう」、上りの吉松発人吉行きが「しんぺい」となっている。「SL人吉」は全車指定席の臨時列車なので、利用の際は運転日を確認した上で指定席券(大人¥800、子供¥400)を購入する必要がある。八代駅7:53発の人吉行き、および人吉駅17:36発の八代行き普通列車は「いさぶろう・しんぺい号」の車両で運転されており、本来は指定席が必要な座席でも指定席券なしで利用することができる(平成21年4月25日現在)。
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[編集] 八代から人吉へ行く
八代駅から人吉駅までは球磨川に沿った区間で、車窓から渓谷を眺めることができる。
1906年に建設された球磨川第一橋梁が鎌瀬駅を過ぎた辺りにあり、列車は球磨川の対岸へ渡る。
[編集] 白石駅
木造駅舎は明治時代の肥薩線開業当初のままの状態で残っており、2007年11月30日には南九州近代化産業遺産群の物資輸送関連遺産のうちの1つに選ばれた。普通列車とSL人吉のみが停車する。雰囲気がいい駅なので機会を作ってでも立ち寄ってみるとよい。
[編集] 球泉洞駅
球磨村にある球泉洞駅から徒歩30分のところに、日本第6位・九州最長の鍾乳洞である球泉洞(きゅうせんどう)がある。球泉洞駅には特急の一部が停車しないので注意。
[編集] 一勝地駅
縁起の良い名前の駅名であるため、お守り型の入場券(¥160)が一勝地駅観光案内所で販売されている。この入場券をもって甲子園に出たピッチャーが優勝したという逸話があったため、一時期注目を集めた。お守り型の入場券は人吉駅でも販売している。
[編集] 渡駅
同じ球磨村の渡駅から徒歩6分のところに球磨川下り「急流コース」の渡発船場があり、ここから約90分掛けて球泉洞下着船場まで川下りを楽しめる。球泉洞下着船場から球泉洞駅までは徒歩20分である。
[編集] 人吉駅
人吉市にある人吉駅で列車を降りると、人吉温泉の温泉街が球磨川沿いに広がっている。旅館や共同浴場も多いので、宿泊地の候補として挙げられる。
日本の滝百選の「鹿目の滝」(駅からタクシーで20分)や日本100名城の「人吉城跡」(駅から徒歩15分)など、見どころも多い。また、球磨川下り「清流コース」と冬季の「こたつ舟」は駅から徒歩20分の人吉発船場で乗ることができ、渡着船場まで約90分掛けて川を下る。渡着船場から渡駅までは徒歩6分である。
[編集] くま川鉄道湯前線へ寄り道する
くま川鉄道湯前線(ゆのまえせん)が人吉駅から湯前町の湯前駅までの24.8kmを結んでいる。SL人吉号の運行に合わせて自然博物館列車KUMA-1、KUMA-2が運行を開始した。KUMA-1の壁面などには沿線地域の動植物のアクリル封入標本やグラフィックボードが設置されており、KUMA-2は沿線地域の見所をイメージした車内デザインとなっている。
湯前駅から徒歩20分のところに「ゆのまえ温泉」があり、宿泊だけでなく日帰り入浴もできる。
[編集] 人吉から吉松へ行く
人吉駅からは観光列車「いさぶろう」に乗って吉松へ向かうのであるが、人吉駅では駅弁の立売も行われているので、ホームで駅弁とお茶を買い、旅の気分を盛り上げてみてはどうだろうか。栗弁当、鮎寿司、幕の内のいずれも¥900、お茶が¥100となっている。
人吉駅を出発してから暫くすると列車は国見山地を登り始め、大畑駅でスイッチバックし、ループ線を登って行くと、肥薩線の最高地点である矢岳駅に到着する。ここから真幸駅へ向かって山を降っていく途中が日本三大車窓の一つの「矢岳越え」で、えびの高原や霧島連山などを車窓から眺めることができる。
真幸駅でスイッチバックし、太平洋戦争の終戦直後に痛ましい事故が起きた第二山神トンネルなどの多くのトンネルを抜けて行くと地形は平坦になり、列車は吉松駅に到着する。
[編集] 大畑駅
日本で唯一スイッチバックとループ線の中にある駅で鉄道資源として貴重な存在である。大畑の駅舎に「名刺を張れば出世できる」と言われているため、木造の駅舎の内壁には訪問者の名刺が貼り付けてある。駅のホームには機関士たちがススに汚れた顔を洗っていたと言われる石造りの小さな噴水がある。駅とループ線の間にループ線の完成を記念した石碑(慰霊碑)が建っており、春にはちょっとした桜の名所になっている。
[編集] 矢岳駅
矢岳駅(人吉市)の標高は約536.9mで、肥薩線で最も高い場所にある。構内には人吉市SL展示館があり、D51型蒸気機関車が展示されている。熊本県と宮崎県の県境が矢岳駅より少し南側の踏切付近にある。
[編集] 真幸駅
スイッチバックがある駅。ホームには鳴らした回数に応じた幸せがつかめると言われている「幸せの鐘」が設置してある。詳細は宮崎県の「えびの市」の記事を参照。週末には、お茶菓子や漬物、野菜、真幸駅のキーホルダ、地元に関連本などを地元の人たちが販売している。
[編集] 吉松駅
観光列車「いさぶろう」の旅は吉松駅(湧水町)まで。この駅では町と鉄道の関わりについての展示を行っており、駅前広場にはC55形蒸気機関車が保存されている。
[編集] 吉都線へ寄り道する
吉都線(きっとせん)が吉松駅から宮崎県都城市の都城駅までの61.6kmを結んでいる。
吉松駅から一つ目の鶴丸駅の周辺には鶴丸温泉があり、宿泊だけでなく日帰り入浴もできる。
吉松駅から二つ目の京町温泉駅(えびの市)の駅前には京町温泉の温泉街が広がっている。
[編集] 吉松から隼人へ行く
吉松駅からは特急列車「はやとの風」または普通列車に乗車して隼人へ向かう。途中に多少の山はあるが、概ね、のどかな農村風景の車窓となる。
[編集] 栗野駅
湧水町の栗野駅(くりのえき)の裏には日本名水100選の「霧島山麓丸池湧水」があり、駅からタクシーで15分ほどのところには栗野岳温泉がある。
[編集] 大隅横川駅
霧島市にある大隅横川駅(おおすみよこがわえき)の駅舎は開業時から100年以上使われており、国の登録有形文化財にも登録されている。駅舎の柱には第二次大戦中に被災した機銃掃射や戦闘機の機関銃の跡がある。特急はやとの風が駅舎見学のために数分停車する。
[編集] 霧島温泉駅
霧島市の霧島温泉駅からバスやタクシーで霧島温泉郷の各温泉へ行くことができる。 2008年1月から近所に住む男の子がちびっこ駅長に就任し、はやとの風の到着に合わせてホームに出迎えにやってくることがある。
[編集] 嘉例川駅
霧島市の嘉例川駅(かれいがわえき)の駅舎も開業当時からのもので、国の登録有形文化財にも登録されている。駅舎見学のために特急はやとの風が数分停車する。普通列車はすぐに出発してしまうため注意が必要である。記念入場券(¥160)は吉松駅の窓口で販売されている。
[編集] 隼人駅
霧島市の隼人駅(はやとえき)で肥薩線は終わるが、特急列車「はやとの風」の場合はそのまま鹿児島駅・鹿児島中央駅へ向かう。
[編集] 気を付ける
特別に気を付けなければならないことは無い。
[編集] 帰る
隼人駅から先は日豊本線の鹿児島方面か、都城方面(宮崎・大分・別府・小倉など)に乗り換える。鹿児島方面の場合は、鹿児島駅から鹿児島本線で1つ先の鹿児島中央駅へ行くと、九州新幹線に乗り換えて八代市に戻ることができる。
八代駅から先は鹿児島本線の熊本方面(久留米・鳥栖・博多・小倉など)か、肥薩おれんじ鉄道線の川内方面に乗り換える。熊本方面の場合は、八代駅から鹿児島本線で1つ先の新八代駅へ行くと、九州新幹線に乗り換えて鹿児島市に戻ることができる。

