宇宙
出典: Wikitravel
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これは「その他の旅行先」の記事です。
宇宙は地球の大気圏外に広がる空間。これまで一般の人にとってはあくまでも「眺める」対象であったが、最近はウィキトラベルで取り上げるような「出かける」対象にもなりつつある。宇宙旅行に関する動向を以下に記述する。
[編集] 宇宙ツアー売り出し開始
日本の大手旅行会社JTBが2005年10月から宇宙旅行のツアー各種を売り出した。同月24日の新聞報道では、同日、この企画に第1号の申し込みがあったことが報じられている。「開発中のロケットで高度100kmまで上昇し、数分間の無重力を体験できる宇宙体験旅行(約1,100万円)に1人の顧客が同時に申し込んだ。」(毎日新聞)とのことである。メインページに「宇宙」の項目が出たときはさすがに冗談かと思ったが、話がいきなり現実味を帯びたものとなり、もはや「宇宙旅行」と聞いて、夢物語と笑い飛ばすこともできなくなってきた(なぜなら、そういう商品が現実に売り出されて、しかもそれを買う人がいるのだから)。さて、気になるツアーの催行時期であるが、「宇宙体験旅行はロケット完成後、2007年にも実施予定。」(同新聞)だそうだ。
もっともこの企画、一番安い宇宙体験飛行(弾道飛行)でもお一人様1,100万円、本格的な月旅行だと110億円(US$1億)とのこと。「宇宙旅行が庶民に手が届くようになるまで、さしあたりウィキトラベルは地上を目指す」と宣言しているウィキトラベルにとって、本格的な宇宙旅行の記事が出るにはまだ相当時間がかかりそうだ。
[編集] 宇宙港
個人向け商業宇宙旅行会社、スペースアドベンチャー社(アメリカ)は、2006年2月17にアラブ首長国連邦 (UAE) ドバイ近郊のラアス・アル・ハイマ (Ras Al-Khaimah)、また同月20日にはシンガポールにそれぞれ宇宙港 (Space Port) を建設する計画を発表した。また、同社はこれら2つ以外の地域(北米など)にも今後宇宙港の建設を進めていくことを同時に発表している。
宇宙港はいずれも本格的な軌道へのロケットの打ち上げではなく、宇宙空間への体験型弾道飛行を目的としたもので、地上100kmくらいまで上昇し、約5分間の宇宙飛行を体験するというものである。なお、両国に設置予定の宇宙港はどちらも空港に併設された施設となる予定である(ちなみに、シンガポールの施設はこんなイメージ)。
また、宇宙港は、単なる宇宙旅行の基地となるだけでなく、同時に国内外の観光客に対して、宇宙飛行士の訓練体験プログラムやジェット機の試乗、自由落下する飛行機内での無重力体験など、宇宙に関連したさまざまなアトラクションメニューを用意する計画である。
アラブ首長国連邦、シンガポールの両国とも宇宙港の誘致や建設には積極的に協力する姿勢を示しており、両国とも、同事業を単なる宇宙旅行の拠点整備にとどまらず、宇宙を切り口とした新たな観光客の掘り起こし・誘致にしたい旨の考えを示している。
それにしても、2005年の宇宙旅行売り出しに続き、またさらに宇宙旅行が一歩現実に近づいた感がある。この調子でことが推移すると、あと10年もすれば実際に宇宙空間を体験したウィキトラベラーによってこの記事が実体験版に書き換えられるのかもしれない。まぁ、そこまでいかずとも、(もちろん今後事業が順調に進捗すればの話ではあるが)今後数年来に宇宙をテーマとした本格的な観光施設が誕生するのは間違いないわけで、さしあたり、そのあたりの記事がシンガポールやドバイの「遊ぶ」の項目を飾ることになるのであろう。
[編集] 日本人初の宇宙旅行延期
2006年9月、ロシアの宇宙船「ソユーズ」に乗り込み国際宇宙ステーションに向かうはずだった日本人男性が、直前に健康上の理由で医師団からストップをかけられ、代わりにイラン系アメリカ人女性が宇宙へと旅立った (ロシア連邦宇宙局が企画・販売する宇宙観光旅行に全額自費負担で応募し、実際に宇宙旅行に旅立ったのは、アメリカの投資情報会社社長、南アフリカのIT企業家、同じくアメリカ人実業家に続いてこの女性で4人目) 。もしこの男性がめでたく「ソユーズ」に乗り込めていれば、初の日本人宇宙観光旅行者が誕生していたことになる。
ちなみにこの宇宙旅行は米国のスペースアドベンチャー社が企画したもので、お一人様一回あたりの料金は2千万ドル(約23億円!)だったことが報じられている。金額の大きさ自体、人々の耳目を大いに集める額であろうが、でもそれだけの金をはたいて宇宙に行った人が2006年9月の時点で既に4人もいるということの方にこそ、むしろ注目すべきなのかもしれない。このペースでいくと、あと1~2年もすれば世界での宇宙観光旅行経験者が片手では足りないくらいの人数になるのはまず確実な状況だからだ(※)。
※2007年4月7日に5人目となる民間人宇宙旅行者の乗ったソユーズ宇宙船がカザフスタンのバイコヌール宇宙基地から打ち上げられた。2001年4月28日に初めて民間人が宇宙へと旅立ってから、これまで03年と04年を除き、1年に1人の割合で民間人が宇宙へと旅立ったことになる。
なお、宇宙旅行に関してここに一つ面白いアンケート結果がある。YAHOO ! Japan が2006年9月14日から18日にかけて実施したもので、「2006年現在宇宙飛行には40億円、これが1人1,000万円まで下がるのは何年後?」という問いに対して、96,811票の回答が寄せられた。内訳は、それぞれ5年後と答えた人が2,257票 (全体の3%) 、10年後8,268票 (同9%) 、20年後13,642票 (同20%) 、30年後11,921票 (同13%) 、40年後3,667票 (同4%) 、50年後15,496票 (同17%) 、100年後8,677票 (同9%) 、下がらない10,057票 (同11%) 、わからない3,928票 (同5%) となっている。
5年~20年という近未来には宇宙への切符が1千万円程度まで下がるであろうと答えた人が3割少しいる一方で、50年後~100年後と答えた人が3割弱、また、下がらないと答えた人も1割少しおり、結果を見る限りでは宇宙旅行の実現性はさておき、費用の方は悲観的な見方をしている人の方が (少なくとも日本国内では) 多勢を占めることがこのアンケート結果からは窺える。
日本人宇宙旅行者が出かけてポシャるということ自体がすでに過去の出来事となっているくらいだから、日本人の「誰か」が一般観光客として宇宙空間に向けて旅立つのもそう遠くない話なのかもしれないが、やはりそれが我々一般人に届くまでにはちょっと…、と考えているというあたり、やっぱり人々の考えは極めて現実的ということか。もっとも1,000万円まで下がったところで、「今度宇宙へ行こうか、それとも少し足して家を建てようか」くらいのインパクトある値段であることには変わりない。さて、あなたなら宇宙船で過ごす数日間の体験とマイホームのどちらを選びますか?
[編集] 日本人初の宇宙旅行者・その後
2007年7月7~8日付ヘラルド・アサヒの28面「ウィークエンドビート」では、七夕に引っ掛けて商業ベースでの宇宙旅行を特集しており、その中で来年にも予定されている宇宙旅行に向けて着々と準備を進める日本人旅行者、稲波紀明 (いなみのりあき) さんが紹介されている。稲波さんは30歳のシステムエンジニアで、ヴァージン・グループのリチャード・ブランソンが経営するヴァージン・ギャラクティックが2005年に募集した宇宙旅行の抽選にめでたく当選した2人の日本人のうちの一人なのだそうだ。旅行代金は20万ドル (2005年換算で約2,200万円) 、飛行時間は約150分で発射後高度約110kmにまで到達し、約25分間宇宙空間を航行する。そのうちで4~5分程度無重力状態が経験できるとのこと。使用される宇宙船は"SpaceShipTwo"という名前で、飛行艇のような形をしているらしいが、詳細はまだ明らかにされていない。前述のように、ロシアが催行している宇宙旅行に応募し、日本人初の商業ベースによる宇宙旅行者となるはずだった人が、2006年9月出発直前に健康上の理由で旅行を取りやめているので、もし稲波さんが来年にでも宇宙へ飛び立てば、今度こそ日本人初の商業ベースでの宇宙旅行者の一人ということになる。なお、稲波さんが宇宙旅行に向けて準備を進める様は、彼自身のブログに詳しく紹介されている。
それにしても、2005年10月にこの記事を立ち上げてから現時点 (2007年7月) でまだ2年も経っていないわけだが、一般人にとって宇宙がどんどん身近なものとなり、また宇宙旅行自体も決して手が届かない類のものでなくなりつつあることが実感できる。記事を立ち上げた当初は宇宙旅行を企画しているのが1社だけだったのに、その後数社が参入、あるいは参入を表明しており、それに応じてより手ごろな価格の宇宙体験旅行も次々と企画される状況にある。「『宇宙旅行が庶民に手が届くようになるまで、さしあたりウィキトラベルは地上を目指す』と宣言しているウィキトラベルにとって、本格的な宇宙旅行の記事が出るにはまだ相当時間がかかりそうだ」と言ったその舌の根も乾かないうちに…、という気がしないでもないが、これらの事実を追っかけていると、このページに単なる紹介ではなく、実体験に基づく記事が載るのも案外そう遠い未来ではないようにも思えてくる。
[編集] 和製宇宙旅行は実現するか?
上に紹介した、2007年7月7~8日付ヘラルド・アサヒの28面、「ウィークエンドビート」の記事には、日本人宇宙旅行者の紹介と同時に、和製宇宙飛行船、「宇宙丸」と「観光丸」での宇宙旅行計画の紹介も掲載されている。この2つの宇宙船はいずれも従来の弾頭型のもので、「宇宙丸」は発射後秒速1kmで高度約100kmまで上昇し、5分後には地上に降りてくるというタイプ、一方、「観光丸」は発射後高度200kmまで上昇し、3時間ほどで地球を2周した後地上に戻ってくるというものらしい。「観光丸」の場合、開発に15年程度の期間と2兆円の資金が必要と見積られているが、現在 (2007年7月) のところ、日本政府をはじめ、このプロジェクトに興味を示している投資家・機関はいない模様。同記事では、インドや中国といった国々が商業ベースでの有人宇宙旅行に参入してくるのは時間の問題なので、遅れをとらないためにも、日本政府が有人宇宙旅行の開発に積極的に資金提供すべきだ、といった主張を紹介している。ちなみに、この「宇宙丸」、もし1日に50回程度発射可能であれば、1人1回あたりの旅行代金は50万円にまで下げられるのだそうだ。
- 追記
- 上に紹介した「観光丸」も含め、リサイクル型観光用宇宙船に関する記事が、2008年3月24日付朝日新聞科学面 (33面) にも掲載されている。
[編集] 宇宙旅行の周辺産業
このところ宇宙旅行の話題が結構賑やかに報じされているが、その周辺産業というのも育ってきているようである。このことに関して、2006年8月26日付の朝日新聞 (夕刊) には、地球上とは環境が全く異なる宇宙空間でどれだけ快適に過ごせるかということに着目した、商品開発に関する記事が掲載されている。題して「日本版 宇宙グッズ点火」。足袋や綿入れ布団など、日本に従来からある商品の発想や技術を生かした宇宙生活用品の開発だそうで、「足を優しく包み込みつつ、骨や筋肉をきたえる」足袋シューズ、「保温性があり、空気に包まれるような寝心地」の宇宙布団などが紹介されている。いたってまじめな記事なのだが、何だか現代版「East meets West」のようでどことなくユーモラスに感じられなくもない。
これらの商品、別に「宇宙」を看板に掲げて一儲けしようという類のものではなく、ちゃんと宇宙航空研究開発機構 (JAXA) のバックアップを受けて開発を進めているものであり、日本人宇宙飛行士も実際の訓練中にそれらの商品を試すなどして開発に一役買うのだそうだ。
もし実際に商品化されたら、それを買って少しだけ宇宙旅行の「おすそわけ」に預かるのもいいかもしれない。どうせ簡単に行けはしないのだし、せめて気分だけでも、という具合に (そういえば、まだ海外旅行が庶民の娯楽には程遠かった頃描かれた漫画に、部屋にハワイのポスターを貼り、アロハシャツ着て首にレイをかけて、畳の上でサーフィンの練習をしているようなのがありましたっけ。さしずめ、あれの宇宙旅行版ですね) 。
[編集] ヴァージンギャラクティック社が民間宇宙船のデザインを発表
2008年2月のトラベルニュースでも紹介したが、2008年02月22日付けの朝日新聞の報道によれば、イギリスに本拠地のあるヴァージンアトランティック航空の関連会社、ヴァージンギャラクティックが、このたび民間ベースの宇宙旅行に使用する宇宙船のデザインを公開したとのことである。宇宙船は「スペースシップ2」という名前で、「ホワイトナイト2」という名前の専用航空機の胴体にぶら下がる形で高度約15kmまで上昇し、飛行機から切り離された後ロケットエンジンで「宇宙の入り口」となる高度約100kmのところまで上昇、数分間の無重力状態を楽しんだ後地上へと帰還する。既に宇宙船の開発や搭乗者の訓練なども着々と進められており、早ければ来年にも民間ベースの宇宙旅行が実現する見込みとのこと。この宇宙旅行、日本では東京・新宿の旅行代理店、「クラブツーリズム」を通じて募集が行われており、2008年2月時点で6人が予約しているそうだ。費用はお1人様20万ドル。マンションを買うよりも安い値段で、宇宙旅行ができる時代がいよいよ到来することとなったわけだ。この6人が必ずしも第一陣で出発するわけではないのだろうが (宇宙船の定員はさほど多くなかったように記憶しているし、現在訓練を受けているのは申込者のうちの80人程度、しかもその中に日本人が何人含まれているのかは新聞報道からでは定かでない) 、いずれ近い未来に日本人民間宇宙旅行第一号の記事が新聞をにぎわすことだろう。

