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シベリア鉄道

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ロシア号の客車

シベリア鉄道は、ロシアモスクワ極東ロシアを結ぶ鉄道である。全長は9,000km以上に及び、終着のウラジオストクまで乗り通すと7日間にも及ぶ長旅となる。

The Trans-Siberian Railway: Web Encyclopedia


分かる[編集]

本プランでは、モスクワウラジオストクのシベリア鉄道本線のほか、モスクワと中国北京を結ぶ路線にも言及し、シベリア鉄道を経由し世界最長距離列車であるウラジオストクとウクライナを結ぶ路線についても簡単に触れる。なお、「第2シベリア鉄道」とも呼ばれる「バイカル・アムール鉄道」(通称「バム(BAM)鉄道」、en:Baikal-Amur Mainline)については当該プランを参照のこと。

主な列車[編集]

シベリア鉄道の路線とモスクワ時間との時差帯。赤がシベリア鉄道本線、青がバイカル・アムール鉄道。なお本地図ではヤロスラブリ経由になっているが、シベリア鉄道の多くの列車はニジニ・ノヴゴロド経由となっている

以下の列車番号のうち、奇数が西向け(モスクワを中心として「上り」に相当)、偶数が東向け(同じく「下り」に相当)の列車である。

以下の運行区間はその列車の基本となるものだが、実際の運用では支線に乗り入れる他の客車を連結している場合もまま多い。例えばモスクワから「ロシア号」に客車を連結し、ハバロフスクで切り離された客車はコムソモリスク=ナ=アムーレを経てサハリン対岸のワニノソヴィエツカヤ・ガヴァニ(「バイカル・アムール鉄道」の終着駅)行き列車として、またウスリースクからハサンを経て北朝鮮平壌行き列車(これは最近53/350列車が延伸するまで世界最長距離列車だった)、といった運用も行われることがある。

シベリア鉄道本線[編集]

1/2列車「ロシア号」
モスクワウラジオストクを結ぶ、シベリア鉄道の代表列車。走行距離9,258km、所要6日3時間。隔日運行。
5/6列車「オケアン号」
ハバロフスク~ウラジオストクを結ぶ列車。走行距離766km、所要12時間。現地時間の夜発ち翌朝到着する短距離の夜行便。毎日運行。
7/8列車
ノヴォシビリスク~ウラジオストクを結ぶ列車。走行距離5,957km、所要4日5時間。「ロシア号」とダイヤは同じで、交互の隔日運行。「ロシア号」運休日の補完の役割を果たす。
9/10列車「バイカル号」
モスクワ~イルクーツクを結ぶ列車。走行距離5,153km、所要3日7時間。隔日運行。
31/32列車
イルクーツク~ウラジオストクを結ぶ列車。走行距離4,107km、所要3日。夏季のみの隔日運行。
903/904列車
モスクワ~ウラジオストクを結ぶ列車だが、あちらが「特急列車」であるのに対し、こちらは鈍行列車と言っても良いだろう。所要約10日もかかり、距離最長の53/350列車に対して、「運行時間世界最長」かもしれない。毎日運行が基本(不定期に運休する模様)。

モスクワ~中国・北京[編集]

3/4列車
モスクワからモンゴルウランバートルを経て中国北京を結ぶ列車。ウラン・ウデでシベリア鉄道本線から外れ、モンゴルを経由して中国へ至る。走行距離7,622km、所要5日8時間。週1回運行(モスクワ火曜発、北京水曜発)。
5/6列車
モスクワ~ウランバートルを結ぶ列車。走行距離6,266km所要5日4時間。3/4列車とダイヤは同じで、週2回運行(モスクワ水・木曜発、ウランバートル火・金曜発)。
K23/24列車
モンゴル・ウランバートル~中国・北京を結ぶ列車。走行距離1,356km所要1日6時間。3/4列車とダイヤは同じで、週2回運行(ウランバートル水・木曜発、北京火・金曜発)。「シベリア鉄道」とは呼べない中蒙国際列車だが、5/6列車と合わせて3/4列車の補完的にも使える。
19/20列車「ヴォストーク号」
モスクワ~中国・満州里~北京を結ぶ列車。カルィムスカヤ(チタ州)でシベリア鉄道本線から外れる。途中ハルビンまでが帝政ロシア時代に敷設された東清鉄道の一部である。走行距離8,961km、所要6日20時間。週1回運行(モスクワ金曜発、北京土曜発)。

ウラジオストク~ウクライナ[編集]

53/350列車
ウラジオストクからシベリア鉄道を経由して、ウクライナキエフドネツクを結ぶ、走行距離世界最長列車。かつてはハリコフ止まりだったが、最近になって延伸された。オムスクでシベリア鉄道本線から外れ(もっとも、途中チェリャビンスクまでが本来のシベリア鉄道の線籍にあたる)、ウクライナへ向かう。途中、一時的にカザフスタン領内を通過。走行距離ウラジオストクからキエフまで10,260km、ドネツクまで10,032km。所要9日、隔日運行。

準備[編集]

ビザ[編集]

主項目「ロシア#ビザ」も参照。モスクワ、ウラジオストク共に主要列車の出発時刻は現地時間の夜中だが、外国人はロシア国内に到着した時にはホテルを通じて外国人登録を行わなければならないので、ロシア到着日当日の乗車は難しい。ビザの前提となる乗車券の手配の際には日程の組み立てに注意。

中国・モンゴルから乗車し、モスクワを経由して第三国に出る場合、到着地のモスクワでの滞在が72時間以内であれば、通過ビザで済むことがあるようである。

日本国籍者は、中国(15日)、モンゴル(30日)、ウクライナ(90日)でそれぞれの日数以内の滞在であれば当該国のビザは免除される。

53/350列車でシベリア鉄道からウクライナまで乗り通す場合、ロシアのダブルビザとカザフスタンの通過ビザがそれぞれ必要。

乗車券[編集]

ロシアの観光ビザを取得する場合、その旅行者の本国の大使館・領事館でないとビザを取得することができない。また受け入れ旅行会社のインビテーションが無いとビザが下りないため、一般の日本人旅行者が自由なプランを組んで旅行使用とするならば、日本国内の旅行会社と契約する手配旅行の形を取らないと難しいだろう。だが、満席にならない限り乗りたい列車の融通は利くので、旅行会社に相談してみよう。複数の列車を乗り継ごうとする場合は乗り継ぎ地でのホテル宿泊を求められる(ダイヤの乱れでの同日乗り継ぎに失敗するリスク回避のため)ので、あまりタイトなスケジュールを組むことは難しい。

もしロシアのマルチビザ、長期滞在ビザを有しているのであれば、駅窓口での購入、あるいはロシア鉄道のウェブサイトから予約は可能である。全ての駅に後述する駅番号が振られており、予約の一助となるだろう。精算とチケット受け取りは乗車する駅で行うが、乗車の30分から1時間くらい前には並んでおきたい。駅によっては長蛇の列に悩まされるだろう。ロシア鉄道のウェブサイト

中国から乗車する場合、中国を代表する旅行会社である中国国際旅行社で手配可能。中国国際旅行社

便利な小物[編集]

以下は必ずしも必要ではないが、長旅を快適に過ごすためにも備えておくと便利である。なお、これらに付随して更に欲しくなる小物もあるが、雑多になるので#車内で過ごすの項で言及する。

食器類
食事の際に食品を切り分けるポケットナイフ(折りたたみナイフで十分。多機能ナイフも良いが、あまり多機能すぎても持て余す)、お茶などを飲むためのマグカップ(割れると厄介なので金属製が良い)、箸かフォークくらいは用意しておきたい。ほかにステンレスボトル(500ml程度で十分)、金属製の皿など。
ウェットティッシュ・トイレットペーパー
長期間の乗車で、シャワーを浴びる機会は極端に減る。不快を感じたときに顔や身体を拭けるウェットティッシュを持っておくと良い。また車両のトイレは常に清掃され紙も補給されているが、補給が追いつかず切れる場合も無いとは言えない。衛生紙の意味合いで備えておく意味はある。
ヘッドランプ・ペンライト
夜間、同乗者が就寝中に部屋を照らす際に睡眠の妨げになってはいけない。
サンダル
気軽に車内を動き回るために。
小ネタ・一芸
これはあなた自身が適当に解釈してもらえればよい。例えばロシア語やコミュニケーション能力も一芸といえるだろうし、子供が同乗していれば折り紙を折ってあげるのも喜ばれる。カードゲームができれば楽しみも広がるし、自身や日本ゆかりの交換アイテムがあれば先方にも思い出を残して貰えるだろう。長い鉄道の旅、とにかく楽しむのが肝要である。「長い旅の機会に、読み切っていない小説を持ち込む」という意見もあるが、それはいかがだろうか。

乗車する[編集]

東の玄関口、ウラジオストク駅

例えばモスクワウラジオストクあるいは北京を乗り通すのであれば、これらの都市が起点、あるいは終点となる。ただし、特にこだわらなければどの駅で乗り降りしても「シベリア鉄道」を味わうことができればよいだろう。乗車/降車地の詳細については、後述する主な停車駅の項の該当の町を参考にされたい。

その町中でタクシーで駅に向かう場合、駅の名前を日本のように「○○駅」風に呼称するより、単に「駅」(Вокзал(ヴォクザル))と呼び習わしている。バスターミナル(Автовокзал(アフトヴォクザル))と間違われないよう注意。トラムやバスがあれば、大抵の町で駅を経由する系統があるはずだ。

駅のホームは開放されている。駅舎は待合室のほか、乗車券売り場(Касса(カッサ))やキオスク(Киоск)、カフェ(Кафе)などがあるが、改札は駅舎ではなく、ホームの客車乗降口で行われる。乗車券に記載の車両に乗り込み、自分の部屋に入る。同乗者がいれば軽く挨拶して、自分の寝台が上段であっても日中であれば遠慮無く下段に腰掛けて構わない。車掌は乗車券を確認して、チケット左上にあるホログラムを軽く破る。これがロシア式入鋏だ。

主な停車駅[編集]

時刻表[編集]

この項では#主な列車で挙げた主要列車の時刻表を取りまとめた。掲載駅は先に挙げた路線図に掲載の駅を中心に置いた。

ロシア鉄道は全国的にモスクワ時間(UTC+3、夏時間UTC+4)で運行されている。鉄道駅の時計は基本的にモスクワ時間に合わせてある。特に西に行くほど時差が微妙になるので混乱しないように注意。以下のこの時刻表も原則的にモスクワ時間で表記している。参考として「時差」の欄にモスクワ時間から現地時間の時差を挙げる。例えば「オケアン号」5列車は現地時間でウラジオストクを21:15発、ハバロフスクは翌日8:00着である。

例外として、モンゴル・中国は現地時間で表記する。モスクワ時間で夏時間を採用している期間はモスクワ時間が1時間進む(ウランバートル・北京時間との時差が1時間縮まる)ので、換算するときは注意。

53/350列車はウクライナ国内途中でキエフ・ドネツクそれぞれへ向かう客車が切り離されるので、キエフ・ドネツク間は直通しない。

西向け列車
駅名 時差 1列車 3列車 5列車 5列車 7列車 9列車 19列車 K23列車 31列車 53列車 903列車
北京 +5/+4 0日 07:45 0日 22:56 0日 07:45
ハルビン +5/+4 1日 15:10
満州里 +5/+4 2日 07:01
ザバイカルスク +6 2日 09:13
エレン(エレン・ホト) +5/+4 0日 23:59 0日 23:59
ザミン=ウデ +5/+4 1日 01:40 1日 01:40
ウランバートル +5/+4 1日 13:50 0日 13:50 1日 13:20
スフ=バートル +5/+4 1日 22:05 0日 22:05
ナウシキ +5 1日 22:31 0日 22:31
ウラジオストク +7 0日 14:52 0日 14:15 0日 14:52 0日 01:10 0日 17:50 0日 03:20
ハバロフスクI +7 1日 03:44 1日 01:00 1日 03:44 0日 14:42 1日 07:12 0日 21:58
ベロゴルスクI +6 1日 14:41 1日 14:41 1日 01:59 1日 18:41 1日 11:25
スコヴォロジノ +6 1日 23:14 1日 23:14 1日 10:53 2日 03:39 1日 22:33
チタII +6 2日 20:02 2日 20:02 2日 21:02 2日 08:04 3日 01:27 2日 22:53
ウラン=ウデ旅客駅 +5 3日 05:32 2日 03:10 1日 03:10 3日 05:32 3日 06:34 2日 18:05 3日 12:46 3日 12:58
イルクーツク旅客駅 +5 3日 12:50 2日 11:05 1日 11:05 3日 12:50 0日 11:20 3日 13:45 3日 01:23 3日 20:35 4日 01:10
タイシェト +5 3日 23:35 3日 23:35 0日 22:22 4日 07:30 4日 21:25
クラスノヤルスク旅客駅 +4 4日 06:42 3日 04:07 2日 04:07 4日 06:42 1日 05:42 4日 07:13 4日 14:49 5日 08:20
ノヴォシビルスク中央駅 +3 4日 19:54 3日 16:17 2日 16:17 4日 19:12 1日 17:48 4日 20:05 5日 04:54 6日 02:27
オムスク旅客駅 +3 5日 03:33 3日 23:56 2日 23:56 2日 01:37 5日 03:07 5日 12:33 6日 13:00
チュメニ +2 5日 11:04 4日 07:20 3日 07:20 2日 09:35 5日 10:39 7日 01:07
エカテリンブルク旅客駅 +2 5日 15:58 4日 12:08 3日 12:08 2日 14:27 5日 16:08 7日 10:48
ペルミII +2 5日 21:35 4日 17:45 3日 17:45 2日 20:08 5日 21:45 7日 20:18
キーロフ旅客駅 0 6日 04:51 5日 01:01 4日 01:01 3日 03:47 6日 05:01 8日 07:40
ニジニ・ノヴゴロド・モスクワ駅 0 6日 10:48 5日 06:50 4日 06:50 3日 09:49 6日 10:58 8日 16:18
モスクワ・ヤロスラヴリ駅 0 6日 17:58 5日 14:28 4日 14:28 3日 16:58 6日 18:13 9日 01:00
ペトロパブロフスク +3 5日 17:27
チェリャビンスク中央駅 +2 6日 01:55
サマーラ 0 6日 20:25
ハリコフ旅客駅 -1 7日 23:00
ドネツク -1
キエフ旅客駅 -1
東向け列車
駅名 時差 2列車 4列車 6列車 6列車 8列車 10列車 20列車 K24列車 32列車 350列車 904列車
キエフ旅客駅 -1 0日 07:44
ドネツク -1
ハリコフ旅客駅 -1 0日 19:45
サマーラ 0 1日 23:44
チェリャビンスク中央駅 +2 2日 18:50
ペトロパブロフスク +3 2日 03:36
モスクワ・ヤロスラヴリ駅 0 0日 21:25 0日 21:35 0日 21:35 0日 23:25 0日 23:55 0日 05:38
ニジニ・ノヴゴロド・モスクワ駅 0 1日 03:47 1日 03:57 1日 03:57 1日 05:52 1日 06:23 0日 21:41
キーロフ旅客駅 0 1日 09:57 1日 10:07 1日 10:07 1日 12:21 1日 12:41 1日 06:36
ペルミII +2 1日 17:45 1日 17:55 1日 17:55 1日 20:17 1日 20:37 1日 18:06
エカテリンブルク旅客駅 +2 1日 23:29 1日 23:39 1日 23:39 2日 02:10 2日 02:24 2日 03:33
チュメニ +2 2日 04:00 2日 04:10 2日 04:10 2日 06:54 2日 07:34 2日 13:57
オムスク旅客駅 +3 2日 11:28 2日 11:51 2日 11:51 2日 15:18 2日 15:26 3日 09:04 3日 02:10
ノヴォシビルスク中央駅 +3 2日 19:27 2日 19:13 2日 19:13 0日 19:27 2日 23:01 2日 23:12 3日 17:18 3日 13:11
クラスノヤルスク旅客駅 +4 3日 07:40 3日 07:06 3日 07:06 1日 07:40 3日 10:52 3日 11:02 3日 07:04 4日 06:30
タイシェト +5 3日 14:39 1日 14:39 3日 18:08 0日 00:00 4日 14:05 4日 18:18
イルクーツク旅客駅 +5 4日 01:39 4日 00:25 4日 00:25 2日 01:39 4日 04:48 4日 04:32 0日 03:35 4日 01:16 5日 13:06
ウラン=ウデ旅客駅 +5 4日 08:54 4日 08:30 4日 08:30 2日 08:54 4日 11:35 0日 11:45 5日 09:12 6日 00:16
チタII +6 4日 18:31 2日 18:31 4日 21:12 0日 21:38 5日 20:32 6日 14:10
スコヴォロジノ +6 5日 15:11 3日 15:11 1日 19:07 6日 18:14 7日 15:33
ベロゴルスクI +6 6日 00:10 4日 00:10 2日 04:38 6日 03:36 8日 03:04
ハバロフスクI +7 6日 11:10 0日 14:00 4日 11:10 2日 16:13 7日 14:31 8日 20:22
ウラジオストク +7 6日 23:23 1日 01:00 4日 23:23 3日 04:54 7日 03:23 9日 13:09
ナウシキ +5 4日 16:43 4日 16:43
スフ=バートル +5/+4 4日 23:15 4日 23:15
ウランバートル +5/+4 5日 07:15 5日 06:30 0日 07:15
ザミン=ウデ +5/+4 5日 20:35 0日 20:35
エレン(エレン・ホト) +5/+4 6日 00:57 1日 00:57
ザバイカルスク +6 5日 14:06
満州里 +5/+4 6日 00:55
ハルビン +5/+4 6日 13:10
北京 +5/+4 6日 14:04 7日 05:31 1日 14:04

車内で過ごす[編集]

客室[編集]

ハードクラス客室の例。下段のベッドは跳ね上げてある

客室は全て寝台で、3つの等級に分かれている。

ソフトクラス
日本風に言えば「A寝台」といえるだろう。定員2名のコンパートメントで、向かい合いに2つのソファーとテーブルがあり、就寝時にソファーはベッドに変わる。中国に乗り入れる列車の中にはシャワールームが備えられている車両もある。
ハードクラス
日本でチケットを手配すると、このクラスが標準クラス。日本のコンパートメントB寝台に相当する。定員4名で向かい合わせの二段ベッドとテーブルがある。下段のベッドを跳ね上げると荷物入れになっているので、不急の荷物はここに入れておける(コンパートメント入り口ドアの頭上にも荷物置き場があるので、上段の利用者はこちらを利用する)。下段の人は上段の同乗者のために日中は席を空けておくのがマナーである。窓側にテーブルがあり、テーブルの裏側は栓抜きが備えられている。天井にスピーカーがあり車内放送でラジオが流されている。ドアは内部から施錠可能。寝台の指定は男女で部屋を分けることは基本的に行われない。
ツーリストクラス
3段ベッドの開放形寝台。日本の583系列車(急行「きたぐに」で使用される列車)のB寝台のようなイメージ。寝台は片側が向かい合わせ、もう片側が線路と並行。寝台の天井は低く、腰掛けるのも窮屈かもしれない。

車両の両端にゴミ箱があり、車掌室の周辺にサモワールやトイレがある。車内は禁煙だが、デッキで喫煙可能(灰皿有り)。車掌室と反対側にコンセントがあるが、業務用なので、勝手に使わないように。

シャワールームは基本的に無いと考えた方が良い。業務用のシャワールーム(トイレの水道を一時的に改造したものらしい)があるとの話もあるが、車掌のサービスでチップも弾む必要があるだろう。

一時下車[編集]

列車は数時間おき程度の間隔で、長時間の停車がある。時間は15分から30分、長ければ数時間に及ぶこともある。この間に車両の連結や切り離し、打検による車両点検、給水などが行われる。この時間を狙って、一時下車して短時間の散歩や簡単な買い物ができる。

15分程度の停車であれば、買い物や駅内の散歩くらいしかできないだろう。30分を超えれば、駅前広場くらいは見物できる。また広く長いホームや跨線橋を使って軽いジョギングはできるだろう(ほかの乗客に迷惑を掛けないように。また係員から制止されたら素直に中止すること)。1時間を超えてくるなら、ちょっと街へ出て散策できるだろう。郵便局で絵はがきを出したり、銀行で両替するくらいならできるだろうが、発車時間に遅れないように。

鉄道駅は町の中心部にあることが多く、駅前広場は憩いの場ともなっている。こういう場所に地元ゆかりの人物の銅像や記念碑などが建っていると、深入りできなくてもその町の歴史に少しでも触れた気になれるだろう。例えばハバロフスクI駅の駅前には地名の由来ともなった探検家エロフェイ・ハバロフの銅像が建っているし、各地でレーニン像が未だに多く残っており、それぞれ微妙にポーズが異なっているので見比べるのも面白い。

駅ホームでは地元住民の売り子が飲食品を売っている。民芸品などは少ない。売り子が居なくても駅舎や駅前へ行けばキオスクくらいはあるかもしれない。

車内や駅での買い物は基本的にルーブル(ほか、現地通貨)である。米ドルは使えないと思っておいた方がよい。国境を越える場合、前の国の通貨は基本的に通用しない。例えば人民元を持ってロシアに入っても、記念に持ち帰る以外はただの紙屑である。またモンゴルのトゥグルクは国外の持ち出しは禁止されている。出国審査で長時間の停車があるので、この際に下車が許されたら次の国の通貨に両替するか、店で使い切ろう。こうした駅に両替屋がいるが、非合法の上にレートが悪いので注意。

食べる[編集]

サモワール

大抵の長距離列車には食堂車(Ресторан(レストラン))が連結されている。値段は高く、スープ・サラダ・パン・メインの肉料理とロシア式に一通り食べるなら500ルーブルは見ておいた方がよい。3食全て食堂車だと懐のダメージは大きい。

長時間の停車時には駅のホームで食べ物を売っているので、新鮮な食品はここで調達しよう。パンやピロシキ(Пирожок(ピロジョク))、ケーキ、果物、魚の薫製や魚卵(Икра(イクラ))の塩漬けなど、いろいろなものが買える。サケ科の川魚オームリ(Омуль)の薫製はバイカル湖の名物だが、案外広い地域で売っている。特に数日もの長期間の乗車となると野菜や果物などが不足がちになるので、意識的に調達したい。

インスタントラーメン(韓国製)やスナック菓子は車掌室で買える。お湯はサモワールにふんだんにある。

手慣れた乗客になると、パンやチーズ、ハムなど日持ちのする食材を多めに買い込んで持ち込んでいるようなので、それに倣うのも面白い。

飲む[編集]

客車には車掌室近くにロシア式の給湯器であるサモワール(Самовар)が備え付けられている。いつでも熱湯を得ることができる。必要の都度、湯を汲みに行っても構わないが、ステンレスボトルがあれば客室で好きなように使えるので便利だ。なお、車両はそれなりに揺れるので、給湯の際には火傷に注意。

長旅で中弛みした頃には、客室で茶を飲むのも大きな楽しみの一つになる。車掌に申し出れば紅茶やコーヒーを買い求めることができる。飽きが来ないように、自身でもティーバッグやインスタントコーヒーなどを用意するのも良いだろう。いろいろと種類を替えたり、ちょっと奮発するなり、日本茶を取りそろえるなり(同乗者に振る舞うのも良いだろう)、工夫したい。インスタントスープや味噌汁も、食事の際の彩りになる。

ミネラルウォーターは車内販売や停車時の駅のキオスクで購入できる。炭酸水であることが多い。飲用のほか、長期間シャワーを浴びず頭がかゆくなったときにシャワー代わりにするといった使い方もできる(もちろん、車内で浴びないように)。

アルコール類はビール(Пиво(ピーヴォ))やウォッカ(Водка(ヴォトカ))を車内販売や停車時の駅のキオスクのほか、食堂車でも購入できる。左党にとっては一番の楽しみではないだろうか。同乗のロシア人が飲んべえであれば、もう逃げられない。もし日本を発って到着後すぐに乗車するのであれば、日本の酒(日本酒や芋焼酎など個性のあるものが面白い)を持ち込むのも酒好きの彼らへの対抗策として一案だ。

車掌[編集]

ロシアの鉄道の車掌(男性形:проводник(プロヴォドニク)、女性形:проводница(プロヴォドニツァ))は各車両ごとに2人のペアで乗務している。ロシアでは若い女性が車掌を務めることが多い。

車掌の業務の幅は広い。乗降客の管理や車内規律の維持はもちろんのこと、乗降タラップの上げ下ろし、シーツの貸し出し、客室や廊下やトイレの清掃、ゴミの片付け、ラーメンやスナックなど簡単な物販、と乗客の身の回りの世話をしてくれる。

この際、自分の車両を担当する車掌とは積極的にコミュニケーションを試み、仲良くなっておこう。これはキュートな車掌さんと親密な関係になって…という意味では無い。長い鉄道旅で身の回りの世話をして貰うのに、お互いに気持ちよく接したいものだ。もう一つ、使用できるならシャワールームを拝借したい、廊下のコンセントを拝借して充電したい、など車掌の裁量で図れる便宜を期待する上でも欠かせない。

もっとも、戦争劇画に登場する女赤軍兵士のような、いかつい、車内規律に妥協を許さない堅物の車掌に当たるかもしれない。運は天に任せよう。

気を付ける[編集]

トイレ[編集]

トイレは車掌がマメに清掃してくれているので、基本的に清潔である。トイレットペーパーは切れることがないとは言い切れないので、用意しておいた方が良い。

シベリア鉄道のトイレは開放式である。用を済ませてペダルを踏むと、水に流されそのまま線路脇に捨てられる。シベリアの気候は比較的乾燥しているので、そのままパラパラになるのだろう。自分の一部が大地と同化する様は妙な感慨を覚える。この時、ポケットから小物を落としたりすると回収不可能となるので注意。

また、駅に停車する前後数十分間トイレは施錠される。駅の前後の沿線には普通に市民が暮らしているので、施錠する理由は自明だろう。催す気配を感じたら、早めに用を足しておくよう心掛けたい。施錠される駅とその時間は一覧で掲示されていることがあるので、チェックしておこう。

寒暖の差[編集]

もし冬季に乗車するとしても、客室内はさほど心配はない。暖房は石炭ストーブ(万一停電などで電力の供給がストップしても独立暖房で乗客の命を守るものであり、開発が遅れているわけでは決して無い)で窓も二重ガラスになっているので、程よく暖かく外気が入ることはほとんど無い。室内で厚着は無用だ。

しかし、駅で途中下車する際はもちろん厳しい寒気に曝される。特に車両の連結部を移動する際は金属部分に触れると低温火傷を起こすこともあるので気をつけたい。

車両の内外で寒暖の差が激しいので、体調を崩さないよう注意。また車内は乾燥している上に暖房が効いているので喉を痛めやすい。気になる場合はのど飴などを用意しておこう。

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