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イタリア鉄道を乗りこなす
出典: Wikitravel
目次
イタリアを旅する時、(個人旅行の場合は特に)列車はとても便利な移動手段だ。鉄道網は国全体で約19,000kmに及び、ヨーロッパの鉄道大国のひとつと言うことができる。また、山勝ちな国土に張り巡らされた路線にはカーブや勾配区間が多く、そのような条件でもスピードを出せるように電車やディーゼルカーのような分散動力車、振り子式車両などの技術が昔から発達し、電化率も高く、高速路線網の整備も比較的に進んでいるので鉄道先進国のひとつとも言えるだろう。イタリア鉄道を利用する際に役立つ情報で、「イタリア」や「鉄道旅行のコツ/ヨーロッパ」の記事には収めきれないものをこの記事に集めている。
[編集] 分かる
鉄道網のうちの約16,000kmが旧国有鉄道の路線だ。残りの約3,000kmが他の公営鉄道や私鉄で、この中にはユーレイルパスで乗車できないものもある。
イタリア国鉄「フェッロヴィーエ・デッロ・スタート」(Ferrovie dello Stato) は民営化されて持株会社に移行し、現在はグループ会社のトレニタリア (Trenitalia)[1] が旧国有鉄道の路線で列車を運行している。トレニタリアの略称には旧国有鉄道時代と同じFS(エッフェ・エッセ)が用いられている。因みに Ferrovie dello Stato とは「国の鉄道」の意味だ。このような情報は一見役に立たないようにも思えるが、現在でもロゴやサイト名、その他の表記で用いられていることもあるので、旅行者としてはどれもトレニタリア、つまり旧国有鉄道が運営していた路線や列車を指すものという程度には覚えておいた方が良いだろう。
駅には改札口が無いが、必ず列車に乗る前に自分で切符の有効化 (convalida) をしておかなければならない。やり方は駅構内やホームにある黄色の自動検札機に切符を入れてスタンプを押すだけだが、この時に印字音がしていることを聞き、刻印された日時も確認しておくこと。もし、自動検札機が見付からなかったり故障している場合は駅の窓口でスタンプを押してもらう。それもできない場合には事情を話して車掌に頼むことになるが、有効な切符を持たずに乗車したものと扱われる場合が多くなっている。
有効な切符を持たずに乗車した場合、罰金を払わされる。ここ数年で取り締まりは段々と厳しくなっていて、必ず一度は車掌が検札に来るし、大きな駅では駅員がずらっと並んで下車した客ひとりひとりの切符を確認することもあるので、必ず切符を購入し、きちんと有効化するのを忘れないように。
イタリアでは全列車が禁煙で、違反すれば罰金だ。また、2007年9月から開始された駅構内を分煙化するプロジェクトによって禁煙の場所が順次拡大される一方で、灰皿の置かれた “free smoking” エリアがホームなどに設置されている。
[編集] 鉄道旅行を計画する
[編集] 時刻表を調べる
列車の時刻表はトレニタリアのサイトで検索できるし、駅に行けば "Partenza"(出発)と書かれた黄色い時刻表が掲示されている。大きい駅であれば鉄道の案内所があり、配布用の時刻表が用意されていることもある。また、機械式や電光式の発車案内表示器で直近の列車の発車予定時刻、乗車ホーム、遅延状況などを確認できる。
国際列車を利用してイタリア以外の国へも行くなら、赤い表紙のトーマスクック・ヨーロッパ鉄道時刻表 (Thomas Cook European Timetable) がいいだろう。旅行業者向けの通常版は英語のみの月刊、個人旅行客向けの英語版 "Independent Traveller's Edition" は年4回、個人旅行客向けの日本語版「トーマスクック ヨーロッパ鉄道時刻表」は年2回の発行となっている。個人旅行客向けのものは日本国内でも入手し易く、値段は¥2,000~¥2,500程度だ。
トーマスクックは便利だが、小さい駅までは掲載されていない。もっと詳しい時刻表が必要なら、イタリア国内で出版されている "Pozzorario Generale" や FS公式時刻表 "In Treno" などを利用してみよう。どちらも全国版と地域版があり、イタリア語のみで書かれているが、FS線とほとんどの私鉄が掲載されいて、駅のキオスクなどで購入できる。"Pozzorario Generale" は年2回発行されている。"In Treno" の値段は5ユーロ程度、公式時刻表であるが販売しているチケットオフィスは少ないので、買うならキオスクを探そう。
[編集] 列車を選ぶ
トレニタリアの路線だけを見ても、速さ、料金、設備、サービスなどの面で違いのある様々な種類の列車が運行されている。自分の目的や予算に合わせて列車を選び、上手く旅程を組もう。
[編集] トレニタリアの列車の種類
[編集] ローカル列車
- レジョナーレ (Regionale, R)
- 短距離から中距離の区間や都市近郊で運行される普通列車。基本運賃のみで乗車できる。
- インテルレジョナーレ (Interregionale, iR)
- 中距離から長距離の区間で運行される普通列車。途中駅ををいくつか通過する快速運転が行われる場合もある。基本運賃のみで乗車できる。
- ディレット (Diretto)
- 準急列車。基本運賃のみで乗車できる。
- エスプレッソ (Espresso, E)
- 急行列車。基本運賃のみで乗車できる。
[編集] 特急列車
- インテルシティ (Intercity, IC) / インテルシティプラス (Intercity Plus, ICp)
- 主要都市間を結ぶ国内特急列車で予約無しでも乗車できるが、予約する場合は座席予約料が必要。ICpは全席指定で、改装した客車が使用されており、ES AVやESが運行されていない路線を補完するような形で運行されている。
- インテルシティナイト (InterCityNight, ICN)
- 主要都市間を結ぶ国内夜行列車。個室寝台やクシェット(簡易寝台)だけでなく、座席の客車も連結されている。
- エウロスター・シティ・イタリア (Eurostar City Italia, ESc)
- 全席指定の特急列車でES AVやESが運行されていない路線を補完するような形で運行されている。
- エウロスター・イタリア (Eurostar Italia, ES) / エウロスター・イタリア・ファースト (Eurostar Italia fast)
- 主要都市間を結ぶ全席指定の高速列車。車両の種類や経路により、最高速度は200km/hから300km/hまである。
- エウロスター・イタリア・アルタ・ヴェロチタ (Eurostar Italia Alta Velocità, ES AV)
- 高速新線(ディレッティシマ Direttissima)を最高速度300km/hで走行する全席指定の最高速列車であるが、高速新線になっていない区間を経路に含む列車もある。料金も普通のESより高い。ミラノとローマをノンストップで結ぶ列車の表記は "AV Fast" となる。
[編集] 国際列車
- エウロシティ (EuroCity, EC)
- ヨーロッパの主要都市間を結ぶ全席指定の国際特急列車。
- エウロナイト (EuroNight, EN)
- ヨーロッパの主要都市間を結ぶ全席指定の国際夜行列車。
- チザルピーノ (Cisalpino, CIS)
- イタリアとスイスの都市間を結ぶ全席指定の国際特急列車。
[編集] 主な観光路線と保存鉄道
[編集] 切符を買う
切符は乗車日の2か月前から発売され、購入と同時に座席の予約もできる。切符の購入や座席の予約はイタリア国内の駅の窓口や自動券売機、旅行代理店でできるほか、トレニタリアの切符を取り扱っている旅行代理店なら日本国内でも手配できる。また、トレニタリアのサイトでも切符の購入や座席の予約ができる。
大きな駅では窓口が Biglietto(切符)、Prenotazione(予約)、Nazionale(国内線)、Internazionale(国際線)などに分けられていて、ES専用窓口のある駅もある。切符の販売と予約を同時に行える窓口の無い駅で予約が必要な列車の切符を購入する場合は、まず予約窓口で座席の予約を行ってから、切符販売窓口へ行く。予約は発車の2時間前まで受け付けている。
観光シーズンの窓口はとても混雑して時には行列が数十メートルにもなる。これでは貴重な時間の浪費になりかねないし、乗ろうと思っていた列車の発車時刻に間に合わないかも知れないので、切符は乗車の前日までに買っておいた方がいいだろう。並んでいても数人の自動券売機なら貴重な時間を節約できるし、クレジットカードを使用できるものもあるのでお薦めだ。
[編集] 通常の切符
ローカル列車の切符 (i biglietti regionali) は発券されてから2か月間有効。
4歳未満の子供は1等車でも2等車でも無料だが、座席を占有することはできない。4歳から11歳までの子供の料金は普通運賃の半額、クシェットやワゴン・リの寝台車の料金は30%割引になるが、子供料金に関するこれらの規程はtrenOKには適用されない。
[編集] 割引切符
[編集] 家族割引
3人から5人までの家族で少なくとも大人1人と12歳未満の子供1人が含まれているグループであれば、12歳未満の子供の料金は半額(クシェットやワゴン・リの寝台車は30%割引)、それ以外の人の料金は20%割引になる。この割引は12歳以上の乗客1人当りの料金が10ユーロ以上であることが適用の条件となっているほか、乗車日、列車、クラス(1等車か2等車か)などの違いによる混雑状況次第で適用を受けられない場合がある。
割引の対象となるのは AV から E までの特急・急行列車とICNのクシェットやワゴン・リの寝台車だ。シャワー・トイレ付き個室寝台のエクセルシオール (Excelsior) の客車や Excelsior E4 客室は対象外。Diretto や R などのローカル列車の片道切符も対象外だが、割引対象の列車と接続する場合はローカル列車にも適用されることがある。AV や AV Fast の1等車の切符を持っている人または買おうとしている人は、AV や AV Fast の停車駅にある Eurostar Club Lounges に立ち寄ってサービスを受けられる(コールセンターサービスは除く)。
[編集] グリーンカードとシルバーカード
どちらもレイルプラス (RailPlus) と共同で発行されている有効期間12か月の割引カード。26歳未満の人はグリーンカード (Carta Verde) を40ユーロで、60歳以上の人はシルバーカード (Carta D'argento) を30ユーロ(75歳の人は無料)で購入できる。購入の際に年齢を確認できる身分証明書の提示が必要。
これらのカードを使用すると、国内列車の1等車または2等車の切符を買う際に、クシェットやワゴン・リの寝台車が10%割引になり、ES や ES AV を含む全ての列車が15%割引になる。但し、シャワー・トイレ付き個室寝台のエクセルシオール (Excelsior) の客車や Excelsior E4 客室の予約料や追加サービス料金は対象外だ。また、国際列車でイタリア国境を越える際の料金総額が25%割引になる(Elipsos社の列車 "Salvador Dalì" は除く)。レイルプラスに加盟しているヨーロッパの鉄道会社の路線を走る国際列車については、包括運賃チケットではなく旅客普通運賃 (TCV) で乗車できるものであれば25%割引になるが、座席予約料、クシェットやワゴン・リの寝台車の料金などは対象外。
[編集] トレニタリアのサイトで
トレニタリアではチケットレス (Ticketless) のサービスを行っていて、同社のサイトでは切符(電子チケット)を乗車日の2か月前から購入でき、購入と同時に座席も予約できる。但し、Rなどのローカル列車の切符は今のところサイトで購入できないようだ。購入日から乗車日までの日数による15%の事前購入割引、大人2人と子供1人以上で20%の家族割引、その他のプロモーションなどで5%から最大60%まで割引があるので上手に利用しよう。
時刻表を検索して列車を選んでからユーザーIDを登録することもできるし、先にユーザーIDの登録だけを行うこともできる。ユーザーID登録時と購入手続き完了時にメールが届くが、ユーザーID登録時に届くメールには初期パスワードが書かれているので、ログオンしたら直ぐにパスワード変更ページに移動してパスワードを変更すること。また、購入手続き完了時の確認メールには予約した列車の乗降駅、日時、料金、購入者の氏名、PNR と呼ばれる予約番号などが記載されているが、トレニタリアのサイトからのメールはなぜかスパムフィルターに引っ掛かり易いので、メールが直ぐに届かない場合は迷惑メール用のフォルダなどもよく確認すること。以上のような点を考えると、先にユーザーIDの登録だけを行ってメールの受信状況を確認し、パスワードの変更も行っておいた方がいい。
チケットレスには2種類あって、一つは領収書をメールで受け取るもので、もう一つは領収書を車内で発行してもらうものだ。前者の場合はpdfファイルの領収書が確認メールに添付されて送られてくるが、この領収証にはバーコードも付いていて検札時に機械での読み取りができる。車内でのやり取りもスムーズになるので、普通は前者を選択するのが良いだろう。
購入手続きの途中でクレジットカードの番号を入力するが、クレジットカードの国際ブランドによって相性があるようで、普段問題無く使用できているものでもカード会社の承認を受けられないことがよくある。トレニタリアのサイトで数種類の国際ブランドを試したという利用者の報告をインターネットで調べると、旧ユーロカードとの提携後に統合したマスターカードがヨーロッパで強いと言われていることと関係あるのかどうかは分からないが、マスターカードは承認が正常に完了し易い傾向がある。マスターカードの番号を入力した後に安全なインターネット決済の為のサービスであるMasterCard SecureCodeのパスワードの入力も求められるので、どの国際ブランドのクレジットカードを使用するにせよ、同様のインターネット決済用サービスがあるのであれば、事前にパスワードの設定や確認を行っておいた方が失敗も少なくなるかも知れない。
トレニタリアのサイトでは1回の購入手続きで複数の列車の切符を購入できるが、列車の指定が完了した時点で一時的に座席が確保されるらしく、購入手続きに時間制限が設けられている。最初の列車の指定が完了してから概ね15分以内に購入手続きを完了しなければ取引が無効になってしまうので、制限時間以内に手早く購入手続きを完了させるには一通り時刻表の検索を済ませておき、場合によっては複数回に分けて購入しよう。尚、残り時間は列車の指定を完了した際に表示される。
領収書をメールで受け取った場合は領収書を、領収書を車内で発行してもらう場合は確認メールを乗車する前に印刷しておこう。自分で印刷した領収証や確認メールは駅の自動検札機に(たぶん入らないので)入れる必要が無く、列車にはそのまま乗車してしまって構わない。車内では検札時に領収証や確認メールを車掌へ提示するだけだ。領収証や確認メールを印刷できない場合や紛失してしまった場合はPNR(予約番号)を車掌に告げれば検札を済ませることができる。PNRも分からない場合には車掌の判断で身分証明書を予約リストと照合して検札を済ませることがあるとサイトの説明に書かれているものの、有効な切符を持たずに乗車したものとして扱われることが多いらしいので、PNRはどこかにメモしておこう。
[編集] 鉄道パスを使う
ここではイタリア国内だけで利用可能な鉄道パスを紹介する。イタリアを含む2か国以上を利用対象範囲とした鉄道パスについては「鉄道旅行のコツ/ヨーロッパ」の記事で紹介している。
[編集] ユーレイル
ユーレイル[2]ではヨーロッパへの外国人旅行者を対象に様々な鉄道パスを販売しているが、その中の一つであるユーレイルイタリアパス (Eurail Italy Rail Pass) はイタリアのみを利用対象範囲としたユーレイルワンカントリーパスだ。
ユーレイルイタリアパスは有効期間2か月のフレキシーパスになっていて、3日用から10日用まであり、次のような種類がある。
- Adultは大人用で、1等車用と2等車用が設定されている。
- Childは4歳から11歳までの子供用で、1等車用と2等車用が設定されている。値段はAdultの半額。
- Saverは2人以上のグループ用で、1等車用と2等車用が設定されている。値段はAdultの15%引き。
- Youthは25歳までの若者用で、2等車のみ利用できる。値段は概ねAdult1等車用の35%引き。使用開始日の時点で26歳未満でなければならない。1等車を利用したい場合はAdultを購入する。
4歳未満の子供は無料だが、その子供の分の座席を予約する場合は有料。
[編集] インターレイル
インターレイル[3]ではヨーロッパ居住者(※)を対象に鉄道パスを販売している。InterRail Italy Train Pass はイタリアのみを利用対象範囲とした"One Country Pass"(もとは"EuroDomino"と呼ばれていた)で、イタリア居住者は使用できない。
InterRail Italy Train Passは有効期間1か月のフレキシーパスになっていて、3日用、4日用、6日用、8日用があり、次のような種類がある。
- Adultは大人用で、1等車用と2等車用が設定されている。
- Childは4歳から11歳までの子供用で、1等車用と2等車用が設定されている。値段はAdultの半額。
- Youthは25歳までの若者用で、2等車のみ利用できる。値段は概ねAdult1等車用の半額。使用開始日の時点で26歳未満でなければならない。
4歳未満の子供は無料。
※ ロシア、ベラルーシ、ウクライナ、モルドバ、アルジェリア、モロッコ、チュニジアの居住者も含まれる。但し、正規の手続きを行なった上で少なくとも連続して6か月間は居住している必要があり、旅行用のビザによる滞在者や基地に居住している軍関係者は対象外になっている。
[編集] 気を付ける
[編集] 旅客鉄道会社
| 地方 | 会社名 | ウェブサイト |
|---|---|---|
| 全国 | Trenitalia | [4] |

